=これからの3提案=
◎ 直買で安く造るシステムの提案
生産者から上質のものを安く直接買う事を提案しています。
たとえば、尼崎のT邸では道路側(南側)の目隠しスクリ−ンを丹波
ヒノキ一等材で造りました。
“木の道のネットワ−ク”で知り合った丹波地方の製材所である(株)木栄が間伐材(間引きした
不要枝材)を利用した木材加工品を販売している事に注目しました。
テラスの床に使用するべき4mヒノキ製材を3,400円から2,250円にまけて貰って運賃共で10万円
で現場に搬入して貰いました。
従来のアルミ材の高価な建材よりも建物の顔が柔らかくなるイメ−ジと経年変化をゆっくり楽しむ
提案が価格面と共に建築主に快く受け入れられました。
◎ 施工部隊の組織化の提案
私共では親切で技術に優れた下請業者やメ−カ−代理店を選別して設計段階からの原価計算や工事
の問題点を十分検討して設計・監理業務を進めるようにしています。
施工請負業者(ゼネコンや工務店など)の工事見積書は今でもかなり不透明な積算で成り立っています。
監理者としても建材単価の金額を査定するぐらいで、大工職人や各下請業者の材工価格(材料+手間賃)
は今でもドンブリ勘定的ですがなかなか突っ込んだ原価把握は我々でも不可能に近いものです。
これは上下業者同士のなれあいや流通システムにより立ち入れない業界慣習になってしまっているから
です。時には建築主との分離発注形式で直接契約をして頂いて3者で組んでそのプロジェクトを進める
こともあります。
また、この施工システムに賛同する下請業者とのお金の話しは全て建築主に対してもOPENにしています。
しかし、このシステムではご不満な建築主には従来通りの競争入札式で施工請負業者を決定していきます。
◎ 健康問題・高齢者問題への提案
現在、問題化されてきた健康障害=シックハウス症候群、新築病、化学物質過敏症に対して予算に合わ
せて提案します。有害と言われる化学物質を含む建材は極力避け、調湿作用や通気性のある自然素材を
使った配慮を設計段階から検討していきます。
この自然素材は上記したような製材所やメ−カ−から安く買える事もメリットのひとつです。
高齢者問題についても単に段差を無くすことや手すりを付けることなどの部分的なことだけでは解消さ
れません。5年先10年先を見据えて和室押入れ下への給排水配管設備で寝たきり生活対策も提案した
こともあります。これは以外に安い施工代金ながら重要な準備工事だと思っています。
健康問題では光・風の向きや自然換気方法が、高齢者問題では家族との接触やプライバシ−への配慮など
が平面計画にも大きく関わってきますので設計段階からの細かい提案が必要になってきます。
以上の提案は私共がこだわっている提案事項ですが、もちろん建築主とは十分な話し合いの上で成立する
ものです。但し、今までの建築生産システムやメ−カ−の営業戦略の足元での不透明感、不信感は否めま
せん。
単なる図面を描くだけの設計者ではなく、もっと突っ込んだシステムからの提案をこれからも考えていく
つもりですし、もっともっと情報発信をしくつもりです。
[1998年7月14日 記]